Hartshorne Ex2.12 The d-Uple Embedding (b)
2.12 d-重埋め込み
ある自然数 について, を全ての 変数 の 次単項式とする.ただし, とする.ここで, ,ただし ]となるように を定義する.これは の における -重埋め込みと呼ばれる.例えば, のとき, であり, の における -重埋め込みの像 は円錐である.
(a) ] ] を, を に送るような準同型と定義し,その核を とする.この時, は斉次素イデアルであり,従って は において射影多様体となる.
(b) を示せ.
(c) と は によって同相であることを示せ.
(d) における twisted cubic curve は,適切に座標を選ぶことによって の における -重埋め込みと等しくなることを示せ.
前回の続きです.今日は(b)についてやります.
本当は(c)もこの記事でやりたかったのですが,あまりにも分量が多くなりそうなので分けることにします.
画面からはみ出している数式はスクロールすると見れます.
(b)の証明
任意の について,
だが,前回の記事における(d)のように,任意の について
となるので,となる.
抜本には「この包含の証明にはいくらか計算が必要となる」としれっと書かれていますが,どう考えてもそんな量ではないです.頭にきますよ!
まず,前回 (d) でやったときと同じように,
と添字を付ける.
ここで,
について,
つまり, 番目の添字が で,それ以外のものが全て であるような斉次座標をとする.
この時, について以下が成り立つ.
これはつまり,前回の (d) で見たように,一つの変数しか出てこないような単項式に送った座標が になると全ての座標が になってしまい,射影空間の点にはならないという矛盾を導きます.
背理法で証明する.つまり,全ての で と仮定する.
ここで,
より
となり,この式に を代入すると,
となる.仮定より, の任意の座標 が になり矛盾.
よって主張は成り立つ.
としても一般性を失わない.
ここで,
が成り立つ.実際に, の指数は左右の項でどちらとも になっている.
よって,
となる.ここに を代入して整理すると
となる.これは,主張より としているからである.
よって
と表せる.従って
となる.(ただし,一般項における分数の分子は,1番目の添字が で 番目の添字が1とする.)
ここで, の座標に出てくる分数を一つの変数としてみると,変数の数は 個しか無く,それぞれの座標は全て で送った形になっていることがわかります.
よって,
となり, となる.
というわけで(b)が示せました.
次回以降では,(c)の内容とともに埋め込みについての概論を見ていきたいと思います.